もうすぐ帰国して1ヵ月、あっという間です。ということで、1年間10ヶ国の旅で感じたこと、伝えたいことを書きました。これから旅に出る予定の人、迷っている人の参考に少しでもなれば嬉しいです。
旅を決意した理由
私は、東京で3年半社会人をしていました。1度転職を経験し、最後の職場は接客業でした。人間関係はとても健全だったし、仕事の内容も大変なことはあれど得るものは大きく、職場環境にはむしろ恵まれていた方だと思います。
それでも旅を決意したのは、この仕事をずっと続けている自分がうまく想像できなかったからです。よく「自分探し」なんて言いますが、「自分の本当にやりたいことを探したい」という欲求がありました。物欲はあまりなく、実家暮らしで自然と貯金も貯まっていったので、帰国後の再就職を考えると、若いうちがいいと思い、旅を決意しました。
「自分探し」は終わりがないですし、旅中に見つかる保証もありません。でも、そういった期間が人生の中では(例え見つからなくても)必要だと個人的には思っていて、そのタイミングが自分にとっては2012年4月だったのだと思います。1年もあれば十分だろうと。
旅のルート
1年間で、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、インド、エジプト、ヨルダン、イスラエル、フランス、モロッコと10ヶ国を旅しました。旅する中で痛感したのは、自分は国数重視のせかせかした旅が嫌いだということ。1ヵ月でラオス、ベトナム、カンボジアの3ヶ国を旅したときに残ったのは、「もっと長く滞在したかった」という悔いだけです。
なので、1都市最低1週間、1ヶ国最低1ヵ月というルールを決め、その後はインド2ヵ月、エジプト1ヵ月、イスラエル2ヵ月半、フランス3ヵ月、モロッコ1ヵ月と旅をしました。特にヨーロッパは、列車で様々な国を旅することに憧れていましたが、フランスのみにしました。出費に関しては、準備に40万円、旅中は合計80万円出費しました。
そもそも私は観光ではなく旅をしたかったので、「自分が知らない世界」を見たかったのです。それはガイドブックやネットに転がっているようなものではないので、簡単には見つかりません。そうなると、一つの国にじっくり滞在した方が、より深くその国を知ることができるはずです。欲張ったルートは悔いしか残りません。(以前、これについて書きました)
旅中に意識したこと

Original Update by Wikimedia Commons
旅中に意識していて本当に良かったと思っているのは、ブログやソーシャルメディアでの発信です。「私はこういう人間で、今こういう旅をしています」ということを発信することで、共感する人が集まってきてくれるし、”書く”という行為は、思っている以上にその人の考えや客観的視点を育ててくれます。自己満足の日記を書くのと、人に読まれる前提で書くのとでは、大きく異なります。
国によってはネット環境が不安定な場合もありますし、情報発信が目的になってしまっては本末転倒なので、バランスが難しいですが、”自分”をまず発信してみることで得られるメリットは大きいです。帰国後に、ブログやTwitterがきっかけで生まれた出会いはたくさんあります。
ブログランキングで上位10位に入る必要なんてないし、Twitterのフォロワーをたくさん集める必要もないです。ネット上で有名になることで得られるメリットはもちろん大きいですが、そこを目指すと、それこそ本来の目的を見失ってしまいます。大事なのは、自分の思っていることや経験したことを、読み手にわかりやすく伝えること。これがしっかりできていれば、必ず共感者が現れます。そういった人が数人いるだけでも嬉しいし、心強いものです。
旅で得たもの
ラッキーなことに、私は旅を通じて「自分のやりたいこと」が見つかりました。インドでヒマラヤ山脈を登ったときに、目の前の大自然に圧倒され、「やっぱり自分は自然が好きだ。自然に囲まれて生きていきたい」と再発見することができました。
「自分探し」というのは本当にリスキーな行為で、言ってしまえば「思い込みの世界」に近いです。「これだ!」と思ったものが本当にそうかどうかは誰もわからないので、そうだと信じて進むしかないのです。私の場合は、「自然」というキーワードから「農業」が選択肢として浮かび、タイやイスラエル、フランスで実際に農業を見てきました。
「自分のやりたいこと」は実は一つだけではなく、多くの人はいくつも持っているものだと思います。なので一つがダメだと思ったら、別のものを探すのではなく、複数の「やりたいこと」を持つ方が良いし、楽しいと思います。私は、まず一つ「これだ!」というものが見つかりました。
英語が喋れるメリット
私は、1年間の旅で驚くほど苦労をしませんでした。ぼったくりは経験しましたが、インドでお腹は壊さなかったし、強盗にも遭いませんでした。唯一危険を感じたのは、イスラエル滞在中のガザ空爆でしたが、これは外的要因でしたし、ハラハラはしましたが、怪我はなかったです。
私は中学時代の3年間をサイパンで過ごしていたので、日常英会話で苦労することはありません。個人的には、これが一番の要因ではないかと思っています。やはり世界的には英語が標準言語なので、それができないと苦労する場面が増えます。
お互いに意思疎通ができないと、親しくなりづらいし、ストレスが溜まっていきます。信頼関係が築けないと、そこから不信感が生まれ、強盗や盗難に発展する可能性もあります。よく、「英語が喋れたほうが楽しいし便利」と言いますが、個人的には「旅が安全になる」という部分が大きいと思います。そこから「便利」や「楽しい」というフェーズに進むのです。
じゃあ、どうやって英語力つければいいの?と思った方は、よろしければこの辺の記事を参考にどうぞ↓
「帰国子女」でも英語習得に苦労した3つの理由
ゆとり世代の英語勉強法とコツ〜まずは日本語力を鍛えよう〜
周囲への感謝
なにより旅から無事に帰ってこれたことに感謝です。よく何かの授賞式で「関わってくれた方々、本当にありがとうございました」と言う場面がありますが、それがすごくわかります。社会人を辞めるという大きなリスクを受け入れてくれた両親や家族はもちろん、「帰国したあとはどうするの?」と一見厳しい言葉ながらも、否定的な態度を示さなかった友人達にも感謝です。周囲の協力があってこその旅だったと本気で思っています。
帰国して感じること
旅した人の多くが感じることでもあるのですが、海外に出ると自分がいかに日本を知らないか、ということを痛感させられます。なので、もっと日本のことが知りたいし、今はとても日本を”新鮮”に感じれます。今まで当たり前だと思っていたものが実はそうでない、というものが見つけやすくなりました。
この感覚は、時間が経つほど薄れていきそうなので、この新鮮な視点を保ちたいです。特に強くこだわったわけではないですが、1年間ぴったりで帰国したのは、「もっと日本を知りたい!」という前向きな気持ちがあった部分も大きいです。
これからやりたいこと
自分ができる範囲で農業を実践したいです。特に、ヨルダンで見たアクアポニックス農業に可能性を感じています。自分が持っているスキルとやりたいことにマッチしそうな分野です。ある程度形になってきたら、日本各地の農地を巡りたいです。
帰国後に色々な人に会って刺激をもらっているんですが、そういう中で「自分はやっぱり貴重な経験をしたんだな」と感じることがあります。旅をするとたくさんの旅人に会うし、自分よりも壮大な旅をされている人は本当にたくさんいるので、帰国の直後は正直「貴重な経験をした」という感覚はそこまで大きくなかったです。
でも、もし1年前の自分が今の自分を見たらビックリするだろうし、内面的にも大きく変わっているだろうと思います。社会人を辞めて1年間旅するというのは大きなリスクだからこそ、実行する人が少ない。だから、そこで得た経験はすごく貴重であり、それを聞きたい人もたくさんいるんだろうなと。なので、自分に興味を持ってくれた人には、どんどん経験をシェアしていきたいです。
あえて一つ悔いを言うならば、”旅のテーマ性”が低かったことでしょうか。私は旅の途中で「農業」というキーワードが見つかり、それを軸にその後は旅をしましたが、何らかのテーマ(軸)を出発前に決めていたら、旅の質が何倍にも上がっていただろうと思います。次回は、しっかりと軸を定めて旅したいです。
江里さん
はじめまして。2年後、大学卒業後に世界一周(旅)を志している者です。
以前から拝読させて頂き、非常に刺激を頂いていました。
100カ国行ってきた!とか、この国は3日で通り過ぎたなどの旅行者多くなりがちな中で、1国に1カ月滞在というのはとても面白いスタイルだと思います。私自身も、自然が大好きで、トレッキングや自然をメインにして旅行したいと考えています。また、移動する旅行よりも1国に長く滞在し、その国のことを聞かれたらある程度ガイドできるような国を複数作れたら良いなと考えています。 日本でも1カ月では、足りないぐらいですものね。
現在、準備段階から”わらしべ長者”というプロジェクトテーマで活動しておりますが、旅行中にも何か”テーマ”をもってみたいと思っています。そのためにも、フィリピン留学などで時間をとられないように英語を勉強しなければ(;一_一)
これからの活躍・更新も期待しております。長文失礼しました。
まきお
コメント&読んで頂きありがとうございます!嬉しいです。わらしべ長者、面白い発想ですね。個人的にすごく大事だと思うのは、「自分はどんな旅がしたいのか」という部分で、これをしっかり見つめることが大切です。周囲の意見や口コミも大事ですが、ここの部分がぶれると悔いの残る旅になるかもしれません。そういった意味で、私はじっくりな旅を貫きました。自分にとって楽しいテーマが見つかるといいですね^^ また何かあったら遠慮なくコメントください。江里
江里さん
初めまして。NAOと(ネット上では)申します。facebookの友達の紹介投稿から来ました。僕は農業が学生の頃からの一大関心時で、今は農業関係の会社で働いています。
ブログも最近始めて、「インターネットと農業」というタイトルです。「人生エコ化プロジェクト」の江里さんのプロフィール見て、ほぼ同じ事を考えていらっしゃるので驚きました。普通の農業ブログではないつもりで書いてますので、是非読んでみて下さい。まだ記事数も10個位で少ないですが。http://boom-nao.seesaa.net/
世界を回って、その結果として「農業」に至った、というのが興味深いところです。僕はあまり旅はしませんが、大学院で微生物学の研究、趣味として最先端物理学の拾い食い、環境問題全体、様々な社会運動(脱原発、障がい者など社会的弱者、格差問題など)など、関心領域をなるべく広くとって、結局行き着いたのが「農業」でした。
アクアポニックス、勉強してみます。この先も江里さん何かとつながっていきたいです。ご迷惑でなければ宜しくお願い致します。
NAOさん、初めまして。コメントありがとうございます。ブログ読ませて頂きました。大学時代に微生物の研究、今は農業系会社に勤めているという経歴が興味深く、ぜひお会いしたいです。私自身は農家生まれではなく、今まで農業の勉強をしっかりやったこともないので、これからそういった細かい部分を学びたいと考えています。『Design In Nature』面白そうな本ですね! 江里
コメントバックありがとうございます!『Design in Nature』に反応しましたか(笑)前回の記事はこの本の内容の紹介からバガボンドに至ってます。長いですけど、気が向いたときに一読下さい。
『Design in Nature』と人間の意志 http://boom-nao.seesaa.net/article/354085222.html
僕も農家生まれでなく、理系サラリーマンの家庭でした。だから農業の実践経験は少なく、研修とかの「体験レベル」でして、ブログの内容も実践者からすると「頭でっかち」と一蹴されそうな気もします。でも今後そのギャップを埋めていきたいと思ってます。
英文は読むのに時間がかかるし、ハードルが高いですが、今度読んでみますね!NAOさんも農家生まれではないんですね。私もこれから実践を積み上げていきたいです。旅での貴重な体験を生かして、ユニークに実践してきたいです。やっぱり、実践が大事ですよね!
ピンバック: 今年の漢字は「帰」、2014年は「動」の1年にしたい | PENGINE
ピンバック: 小さな"芽"が出た年。これを来年は大きく育てるーー2014年振り返り | PENGINE