昨日の7日(金)にヨルダンのワディムーサという砂漠地帯で農場の見学をしてきました。
ここでは、“アクアポニックス”という農業が行われており、会場となったBait Ali Lodgeには、それぞれの知り合い繋がりで30人ほどの参加者がいました。すぐ近くのリゾート地アカバに住んでいる欧米人や台湾人も来ていました。
そもそも”アクアポニックス”ってなに?
そうですよね、私自身も今回初めて知った言葉だったのですが、まずは”アクアポニックス”について簡単に触れたいと思います。
アクアポニックスとは、アクアカルチャー(水産養殖)とハイドロカルチャー(水耕栽培)を掛け合わせた造語です。日本では農業を営んでいる人の間では水耕栽培は有名らしいのですが、これ、言葉が堅苦しいだけで、私たちの日常にあふれています。要するに、土を使わずに水だけで植物を育てよう、とうのが水耕栽培です。家でポトスなどの観葉植物を水を入れたビンに差して、リビングに置いたりしているのも水耕栽培に入ります。
そして、アクアカルチャーは名前の通り、魚やイカなどの水産物を育てることです。アクアポニックスは、この水産物のフンや尿などの排出物を利用して植物も育てちゃおう!というイメージです。馬や牛の糞が良質の肥料になるように、魚の糞だって立派な肥料になります。魚の排出物で植物が育ち、植物がそれを吸収して水を浄化し、またそれが魚の水槽に戻り、またそれが排出物と一緒に植物へ…というまさに生態系のようなシステムです。
このシステムをベースにした農業が、ここヨルダンのワディムーサという地で2ヶ月前にスタートし、そのお披露目会が今回開かれました。
見学後は、カフェでみんなでクッキーやコーヒーを飲みながら、自己紹介やプロジェクトについての質疑応答。私もフィリップ氏に色々と質問しました。準備期間が2ヶ月間で、スタートから2ヶ月間しか経過していないと聞いて驚きました。2ヶ月でここまで形になるんだ。
立ち上げにかかった費用は、約2500ディナール。日本円で28万円弱。思ったよりも低予算。ポンプと配管に一番お金がかかったそうです。水はすぐ近くの井戸から引っ張ってきているそう。アクアポニックスは、人間側が手をかけなくても自然のサイクルで育つような仕組みを目指しているので、ある程度仕組みが出来上がれば労働は少ないとのこと。スージー氏とフィリップ氏に毎日の日課を聞くと、「5分から10分のチェックを1日3回やるだけ」と口をそろえて言っていました。
私自身、5,6年前は専門学校で魚の飼育について勉強していたので、水槽内のサイクルについては最低限わかっているつもりですが、この”アクアポニックス”という仕組みを知って、「なるほどなー!」と思いましたね。
可能性を感じたのが、土を耕す必要がないということ。ということは、土地にこだわらなくていいんです。ビルの屋上でもできるし、バルコニーでもできる。規模については、その人が持ってるスペースに合わせればいい。もし、部屋に水槽を置いている人がいたら、その水槽にいくつか設備を加えるだけで、美味しい野菜まで食べれるかもしれません。初期投資は多少かかりますが、うまくいけば、蒸発した分の水を定期的に足すだけで十分です。水換えしなくてもいいんですよ。そういう意味で、アクアポニックスには農業を身近にする力があるな、と思いました。
アクアポニックスのマニュアルも販売されていて、中身を少し読んでみましたが、プロジェクト内容が詳細に語られていてとても勉強なりそうでした。大きめの本だったので、今回はPDF版をウェブサイトで献金という形で購入しました。これからじっくり読んでみます。全編英語ですが、こちらで購入できます。
最近日本では、日本橋で「アートアクアリウム展」が開催され盛り上がっているようですし、まだまだ値段は高いですが、アクアポニックス水槽も開発されました。国内でもっとアクアリウムが身近になることで、それにリンクするアクアポニックスも身近になり得るのでは、と思います。
タイのチェンマイ以来の農業体験(見学)でしたが、やっぱり農業って面白そうです。地球温暖化、貧困、食料自給率など、様々な問題が絶えませんが、自然を守るために一番効果的な方法って、人間が絶滅することだと思うんですよね。でも、それはできない(したくない)ので、他の方法を考えるしかない。
私が興味のある農業というのは、他国での重要が高い(=ビジネスになる)作物を大量に生産するようなものではなくて、自分たちで食べる分を自分で生産できるようになる農業です。全国民が農業を営むなんて無理だと思うけど、規模は違っても、それぞれがもっと農業を身近に感じれるような(実際は身近なんですが)ものが見つかればと思っています。
まずは、数日中にイスラエルに移動し、日本の農業の50倍効率の良いハイテク農業で有名なイスラエルにて、2ヶ月間勉強してきます。それから、また色々と考えてみます。
〜追記 2013年9月17日〜
新しく始めたブログで、現在実践中のアクアポニックス農業について近況レポートしてます(DIY記事もあり)。ぜひ、読んでみてください。→PENGINE
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